これは、バッタとある男の恋物語である。
あなたの想像通り、この恋は悲恋だ。
著者はファーブルに憧れて昆虫学者を志し、
バッタに食べられるために(!!)西アフリカはモーリタニアへ渡る。
アフリカは大発生したバッタによる農作物の食害で飢饉に苦しんでいる。
モーリタニアはそのバッタの発生地になっており、ここから国境を超えて各国へ広がっているらしい。
アフリカを飢饉から救うため、著者の奮闘がはじまる。
……と思ったら大発生するはずのバッタがなかなか大発生しない。
飢饉から免れられるのはいいが、研究ができないではないか。
研究ができず論文が書けなければ今後の研究者としての地位が危ない。
そこで著者はあろうことか、容易に大量捕獲できる「ゴミダマ」ことゴミムシダマシに浮気するのだ。
研究対象を急遽ゴミダマに変えた著者が発見した事実とはーーーー
ほほえましい気持ちで読み始めた読者は、
数々のエピソードに笑い、共感し、何度もドン引きすることになる。
しかし最後にはとても晴れやかな気持ちで読み終えているはずだ。
この本は恋物語であり、人間賛歌であり、若者への超弩級のエールである。
昆虫学者をめざす者への実践的な就職指南書でもあるのだが
そのまま実践することをおすすめするのは差し控える。
理由は読めばわかる。
いや、表紙を見ればなんとなく危険な雰囲気を感じとってもらえるだろう。
こんな表紙を見せられたら買わないわけにはいかないではないか。
なお、アフリカ(モーリタニア)でのバッタ研究の成果は
論文発表したら、また読み物として紹介するつもり
『バッタを倒しにアフリカへ 』(光文社新書) P.377より
とのことなので期待して待ちたい。
著者 前野ウルド浩太郎さんのブログ
著者 前野ウルド浩太郎さんのTwitter